引き出しにイヤホンが溜まっているのに、なぜまた買ってしまうのか
新しいイヤホンを買う瞬間は、引き出しの中身と比べて決断していることはほとんどありません。比べているのは、もっと具体的な一つの穴です。ジム用のバッグに一つも入っていない、仕事で毎日通話するようになったのに古いのはすぐ途切れる、片方のイヤホンが車の座席の下に転がって二度と出てこなかった、というような。どの穴も単独で見れば筋の通った小さな決断ですが、その裏で二、三個の古いイヤホンが数メートル先の引き出しで何もせずに眠っていることには、まったく目が向きません。
新しい一つが解決するのは今ある穴、コレクション全体ではない
注文ボタンを押す瞬間、自分がすでにいくつイヤホンを持っているかを考えていることはまずありません。旅行の荷造り中にどこを探しても一つも見つからなかったり、新しい仕事で毎日通話をするようになって古いイヤホンの接続がすぐ切れたり、あるいは店頭の目立つ棚の前をたまたま通りかかったり。頭にある問いは「これで今日の困りごとが解決するか」であって、「工位の引き出しやジムバッグや去年のコートのポケットに、全部でいくつあるか」ではありません。その瞬間は引き出しを開けて数える動作にはまったく似ておらず、目の前の一つの穴を、いちばん早く買えるもので塞いでいるだけなのです。
実際に起きている3つのパターン
自分で選んだわけではないものが多い。新しいスマホを買うと箱に一つ付いてくる、会社支給のノートパソコンには通話用のイヤホンが付属している、カンファレンスの受付でロゴ入りのイヤホンを配られる。どれも自分で天秤にかけて買った決断ではなく、いつの間にか手元に現れたものです。自分で選んでいない分、実際に選んで買ったものと同じようには「持っているもの」として数えられません。
場面ごとに専用の一つがあり、どの場面も他の場面とは比べられない。汗に強いものはジムバッグの中、長時間の通話には着け心地のいい大きめのものをデスクに、良い方が壊れたときのために安い予備を普段のバッグに。それぞれ単独で見れば理にかなった判断です。ただし「この場面に合っているか」と「全部でイヤホンをいくつ持っているか」はまったく別の問いで、後者はほとんど聞かれません。どの一つも自分の場面の穴を埋めるために買われただけで、他の場面と比較されることは一度もないからです。
片方をなくすことが、まるごとなくしたことと同じ扱いになる。ワイヤレスイヤホンには有線では起こり得ない壊れ方があります。片方だけがどこかへ消え、もう片方はケースの中で何ともなく残っている。片方がソファの隙間やコートのポケットに滑り込むと、探すより先に、心の中で丸ごとなかったことにして新しいものを注文する人がほとんどです。数週間後、なくなった片方がひょっこり出てきて、結局「片方だけ欠けたペア」が二組になり、どちらも「一応使える」という理由で捨てられずに残ります。
「引き出しがいっぱいになれば気づくはず」が成り立たない理由
イヤホンは小さくて黒っぽく、すぐ絡まるので、何個あっても一つの絡まった塊にしか見えません。古い有線イヤホン、片方だけ残ったイヤホン、電池がもう持たないケースが同じ引き出しに入っていると、パッと見では「古いイヤホンがいくつか」としか映らず、新しく買うものと比べられる、使えるか使えないかの個別のモノ三つ四つとしては見えません。ワイヤレスに切り替えた瞬間から、有線イヤホンは頭の中で「本物のイヤホン」の枠から外れ、手に取らなくなったその日から「もう古い」に分類されます。実際は変換アダプタさえあれば普通に使えるのに、です。5着目のコートが増えれば即座に気づきます。5個目のイヤホンが引き出しに増えても、絡まりが少し増えただけに見えます。
すべてを記録しなくても、実際に役立つこと
カンファレンスでもらった一つ、古い有線イヤホン、ジムバッグの一つまで、型番付きで一つひとつ記録する必要はありません。実際にギャップを埋めるのは、自分が何をどこにだいたい持っているかという大まかな感覚です——デスクに一つ、ジムバッグに一つ、引き出しにまだ使える有線が一つ。これがあれば「イヤホンが必要だ」と思った瞬間、何もない状態ではなく、何かと比べて判断できます。もう一つ大事なのが「片方だけなくした」場合です。心の中で丸ごとなかったことにするのではなく、「片方が欠けている」と一言メモしておくだけで、まるごと新品を注文する前に、五分探してみようという気になることが多いはずです。
もう半分は、その大まかな感覚が本当に必要な瞬間に思い出せるかどうかです。荷造りをしているとき、店頭の棚の前に立っているとき、注文ボタンに指がかかっているとき——きっかけがなければ、自分の引き出しの中身を思い浮かべる人はほとんどいません。
記憶より、短いリストの方が頼りになる
これは「思い出そうとする」より「調べる」方が効く典型的なケースです。問題は良いイヤホンが欲しかったことではなく、注文しようとしているまさにその瞬間、デスクやバッグやあの引き出しにすでに何が散らばっているかを教えてくれるものが何もなかったことだからです。Kept ならそのリストを、大きなプロジェクトにせずに持てます。家にあるイヤホンをだいたい声で話すだけで構造化された記録になり、引き出しを撮影すれば認識機能が下書きを作ってくれて、あとは確認するだけです。店頭でも、注文ボタンに指がかかった瞬間でも、「買う前に確認」の画面がここでいちばん大事な問い——同じ役目をするものをもう持っていないか——に答えてくれます。そうして残る一つは、実際に耳に着ける一つになり、引き出しの奥でまた絡まるだけの一つにはなりません。